ラグアルダ・ロウ・アーキテクツ共同代表の重松健は、東京・日本橋川沿いの呉服橋における再開発プロジェクトで主任デザイナーを務めました。この度、Forbes JAPANのインタビューを通し、歴史ある日本橋エリアについての考察や、再開発の将来像について共有しました。
街のコンセプトの見出し方
大学時代、日本橋学生工房を通じてこのエリアの街づくりのお手伝いをしていた僕にとって、この再開発に携わることができるのは夢のような話。当時は、夜な夜な老舗の大旦那様や街の方々と飲みながら街への思いを聞いていましたが、誰もが一つひとつの物事に本気で向き合い、勝負していて、ここは“本物”だけが集まる街だと感じており、そのころからずっと、日本橋川の魅力に注目していました。当時は、魅力を伝える方策を模索するなかで、例えばボートレースを企画したことも。長年、実感としてもっていたこのエリアの魅力ある個性を生かしていきたいと思っています
陸路と水路が一体化していく世界でも稀なロケーション
YNKエリアはかつての江戸の中心地で、歴史という物語をもっています。そのなかでも呉服橋は、日本一のターミナルである東京駅に最も近く、かつ日本橋川に面した希少なエリア。都心のど真ん中で、鉄道のハブ駅と水路の起点になりうる川が一体化しているロケーションは世界中でも稀有な立地だと思います。そんななかで5地区が連携した大規模な街づくりを進め、土地がもっている特性を生かせるのは非常に魅力的。呉服橋から日本橋川沿いに、にぎわいが連続すると同時に、多様な個性を常に発見していくような街を形成し、人々が東京駅から日本橋川沿いまで街歩きを楽しめるような環境をつくっていきたい。
訪れた人が主役となるデザインを意識
呉服橋プロジェクトは常に日本橋川を感じられるような設計を進めています。1階には広場や川に向かった大階段、2階以上のフロアには展望デッキやパノラマの窓を設置予定。行き交う多種多様な人が主役となるデザインにしていきたい。
この場所はプロジェクトの竣工で終わらず、その先も50年、100年と新しい革新と伝統を生み続ける街になります。“本物”を目指す方々に、これから始まる物語の1ページにぜひ参加していただきたいですね。
text by Kanako Aoki / photographs by Munehiro Hoashi / edit by Hirotaka Imai
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